あたらしい教科書『コンピュータ』刊行記念トークセッション 山形浩生×仲俣暁生

コンピュータ (あたらしい教科書 (9))

渋谷で待ち合わせてうろうろと。MOTHER3+のサントラを買いついでに、タワレコでヒモヘビのスタンプを押す。月頭に開店したばかりのABC@HMV(ややこしい)の書架をひやかして時間をつぶす。ABCってわりと家の本棚と系統が似たラインナップなので、見ていて飽きない。「今、初めて本屋で買い物かごが欲しいと思った」という名言を頂きつつザッピング。結局買ったのは三位一体モデル / 中沢新一だけ。

メインの目的は、あたらしい教科書 刊行記念のトークショー。予告されていた山形氏×仲俣氏のほかにも、月刊アスキーの遠藤氏、音楽ライタ(という肩書きでいいのだろうか)の津田氏が適宜突っ込みを入れつつの1時間。非常にうだらうだらした話を満喫しました。ただひとつのトピックを延々と論じられるよりも、ある話題の周辺を少し高くて広い視点から寄り道しつつさまざまに語られるほうが面白い。一晩中だって聞いてたいわ、こういうの。突然お誘いしたひともお気に召してくださったようで何より。

せっかくの機会なので、「こんなご時世、ふつう高校の情報科ではなにを教えたもんかしら?」と日々頭から離れない悩み事を打ち明けてみたりもしましたが、まあ、明確な答えのない問いでしたのでね。まだまだ教員側の研鑽も足りません、というところ。ごもっともです。

以下書き留めたことなど…。

  • 教科書をつくるということは「この事柄を世の共通理解としておきたい」ということ。
  • web 2.0を楽観視する見方はとても強いけど…。ムーアの法則に基づいて、情報の価値が相対的にどんどん安価になっているけど、とっておきの個人情報を切り売りして利便性をあげているだけかもね。(うっかりエロ本@amazonのリンクを踏んだ後の悲劇たるや!)
  • ユビキタス監視社会。20年も前ならSFでしかなかったけど、いまやかなりの精度で人の行動を監視する事が可能になってる。あまりにも生活に密着しすぎて、異論を差し挟む余地もない。たしかにSuica便利だしね。
  • MP3が変えたものって。「ライブラリを全部持っていく」感覚は旧来には持ち得なかった。確かにWalkmanはオンガクとの付き合い方を変えたけど、CDMDの時代は、洋服とか、気分とか、行き先とかに合わせて選ぶものだった。(iPod/60GBを買ってから、そういう感覚はとても鈍感になってるね、確かに)
  • ライフログのように、netで閲覧可能な世界と現実世界がどんどん近づいてくると、他者との境界があいまいになってくるのかもしれない。
  • 人間はチューリングマシンに近づいている?知識の多くがnet上で事足りるようになって、人間がこなさなければいけないFunctionはどんどん減っている。(この話題には既視感が。うわ、どこのブログだっけ。思い出せない…)

話の端々に攻殻機動隊の影が見え隠れするのはなぜだろう(具体的に言及される事はなかったけど)。コンピュータと人間を論ずるような場面では、もうすっかりあの作品はリアルになってしまった。