「上村次敏の世界−花迷宮から逆立ち聖堂へ」at 埼玉県立近代美術館

常設展もちらりと見てきたのだけど、ミニ企画の上村次敏にノックアウト。ふつうの透視法ではなく、視点をぐるぐると移動させながら一枚の絵を成立させてることに感激。一見エッシャーぽく見えるけど、別に錯覚があるわけではない。マトリックス以降流行ったBullet Timeの手法を静止画でやってるようなものかしら。テンペラの精緻な筆致で「二つの名画の場面を合成する」なんて面白いことをやってる。

180度ぐるりと回転させたものもよいのだけど(楽しげに見えて実は異なる二つの建築様式=文化が入り交じった理想の都市を表現、というのにもぐっとくる) サグラダ・ファミリアをおもいっきり斜めのパースで描いたのが好き。解説シートは代表作のサン・マルコ聖堂しかなかったので、ミニ画集を買ってしまった。ここ以外ではあんまり収蔵されてないっぽいので、また企画展が催されるのを待つしかないかなあ。(一昨年やったばっかりだけど!)

ギャラリーショップで古い図録をいろいろ売っていて、ジェームズ・タレル展(!)のパンフを買う。光をテーマにしてるだけあって、パンフも透明感があるデザインで美しい。みっしり書かれた9ptのテキストに夜明けのようなグラデーション。これで可読性がきちんとあるだなんてすごい。しかし、流石に97年当時 タレルに反応するアンテナはなかったなあ。残念。