天野祐吉×佐藤可士和 トークセッション at 明治学院大学


進路担当の先生が「あおきさん、こういうの好きでしょ?」と学校に送られてきた案内をくれたので、カシワズキの生徒(いい趣味してる)と一緒に出かける。カシワさんはともかく、天野さんがしゃべってるところなんてそうそう見られなそうだしね。

「それってカッコいい?」と題された講演は、「ブランドばっかりで大学を選ぶことって本当にカッコいい?」とかなり自らの立ち位置をすっきりさせた話題からスタート。お、かっこいいね。天野さんてここ出身なのね。いちおうは高校生を対象にしたセミナなので、「自分の美意識を確立するのが大学という場所である」なんて若い世代に向ける言葉も多く含まれていたけど、十分に楽しめた。

「新しいロゴマークが決定したときに『昔からこのロゴだったみたいだ』と言われたのが一番嬉しかった」とカシワ氏が発言されていて、デザインていうのはこういうものなのだな、と実感。自分の作りたいものだとか、見た目がいいとか、機能的であるとかそういうのではなく、持ち主の心構えやたたずまいなどの実態をそのまま表すものであると。天野氏は「広告だからいい面を強調しているのはあたりまえで、時には足りない部分を示すものを提示することにさえなる」と補足されていた。

なので、どんなものでもいいから目標に向かって自分を律するイメージを持ちなさいと。自分にとってそれはデザインだけど、言葉でも具体的な職業でも生活でも、チューナーとして機能する何かを持って勉強するなりしなさい、と話をまとめられていた。大学のブランディング話からきちんと高校生向けの格言に戻って綺麗にオチたのに感激。話うまいなー。

明学って今まではこれといった印象もなかった大学なのだけど、経営のスタンスとしてはとても美しいなあ、と感じた。「企業じゃないんだからアートディレクションなんてなんぼのもんじゃい」てところがほとんどだろうしね。自らの立ち位置を冷静に分析して必要なものがなにかをきちんと選んでいる、実直な印象をうけました。このセミナ以外はなにも参加していないのだけど、おそらくは教育の質もそうなのだろうな、と感じさせるくらいのインパクトがある。

と、ワタクシが思っている時点できちんと練られたブランディング戦略の強さを思い知らされるなあ。こちらも精進精進。