大山顕の二ヶ月間ですごい写真を撮るワークショップ最終回

スーザン・ソンタグの『良心の領界』という本の序文「若い読者へのアドバイス」にこういう一節がある。

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自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考えるのは、なるべくしないこと。自分についてはまったく、または、少なくとももてる時間のうち半分は、考えないこと。
動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、よその国に住むこと。けっして旅することをやめないこと。もしはるか遠くまで行くことができないな ら、その場合は、自分自身を脱却できる場所により深く入り込んでいくこと。時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。場所が時間の 埋めあわせをしてくれます。

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自分自身について、考えないこと。とソンダクはいった。ぼくらはほっとくと自分のことを考えちゃう。せめて写真を撮っている間は、「自分自身を脱却できる場所により深く入り込んで」みようじゃないですか、と、そういうワークショップです。いわゆる写真技術のことはなにひとつお話ししません。そういうこと、ぼくしらないし。というか、これがほんとうにワークショップというものなのかどうかもあやしい。

まずは三回分のレポート。

三回に渡って参加した @sohsai の『大山顕の二ヶ月間ですごい写真を撮るワークショップ』 、本日が最終回。ほんとうにエキサイティングで、考え深くもたのしい時間でした。さまざまな制約を課し、徹底的に「自分」から離れることで、「写真とはなにか?」…を真剣に考えてはみたのだけど、「すごい写真」が撮れるようになったんだろうか。 …いや、そもそも「すごい」ってなんだろう?

結局は、面白いくらいに袋小路に迷い込んだ。もちろんかんたんに答えが出るなんて思ってなかったし、そもそもこういう切り口で写真を捉える事さえなかったし。まだまだじっくり考えたい。「結局はそこにいたという事実だけがはっきりと残る」という指摘は、なんとなくいい鍵になりそうな気がしてる。