No Kidding?

冗談みたいな思い込みが、現実になる日が来た。

スパイラルライフ、元AIR、現LaikaCameBackの車谷浩司氏にお目通りがかなった。人生の目標のひとつが叶うときに、自分は気の効いたことひとつ言えないのだなあと、ちょっとがっかりした(笑)。

今を遡ること16年前、13才のいなか女子中学生だったわたくしにとって、スパイラルライフとの出会いは、それこそ天地がひっくり返るような衝撃だった。その音楽はもちろん、ひねくれた発言とか、そこから透けてみえるルーツミュージックとか、「都会の空気感」とか。

そして「ひとかどの人物になって彼らに会う」というのを人生の目標にした。音楽ライターでも、デザイナーでも、エンジニアでも、スタイリストでも。「ファンです!握手してください!」ではなくて、きちんと名を名乗り彼らと対等に話ができるようになりたいと。まあ、いまになって思えば「彼のお嫁さんになる!」よりはなんぼかマシ、というくらいの幼稚な思いつきだけど、とにかくそれを目標に定めてしまったのだ。

その後、もうひとりのスパイラルライフである石田さんとは早々にお近づきになる機会を得て、撮影とかデザインのお仕事をご一緒できたのだけど、(だからこそ)車谷氏と会える日がくるとは思わなかった。今、あのころ描いていた「ひとかど」の人物になれてるかどうかはわからないけど、きちんとごあいさつ出来て本当に嬉しかった。その後、加藤さんとなかば涙目で酒を酌み交わしたのでした。

「16年間ずっと会いたいと思い続けている」ひとは、果たしてこの先の人生に現れるだろうか。オトナになった自分は、もう「会いたい人には万事手を尽くしてすぐに会いに行く」ようになってしまったから(それはとても良いことだ)。そういう意味では、彼が最後のヒーローになるのかもしれないな。五月の終わりに忘れられない夜がひとつ。

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