演劇集団キャラメルボックス ハーフタイムシアター「ミス・ダンデライオン」「南十字星駅で」

熱い想いだけを手に時を超える「クロノス・ジョウンターの伝説」の最後を見届けに池袋へ。地方を回ってきた公演だとは言え、初日に行くなんて初めてなのでちょっと緊張する。

再演の「ミス・ダンデライオン」は、相変わらず鳥肌が立つほどの純粋なラブストーリーだった。あたいもひー兄ちゃんにあたまポンってされたい!(涙) 。いやしかし自分が樹里と同い年になってることに気づいて動揺した。樹里に箸にも棒にもかけてもらえてない野方さんたった8つ上だし。知らぬ間に未来に弾きとばされてる…!

そして最後の作品となる「南十字星駅で」。長く続いてきたクロノスシリーズはもう本当にこれで終わりなんだ、としみじみと。年老いた野方さんがクロノスに乗って飛びたつっていうのはそういう事だ。 …おっとこれ以上は劇場で。クロノスを一作でも観たひとは、是非。じわじわ涙がでるわ。

クロノスシリーズがこんなにもつよい印象を持つのって、タイムトラベルSFなのに(だからこそ)時の流れが厳格だからなんだろうな。そういう意味では、おなじ梶尾作品の「おもいでエマノン」と相通じるところも多い気がする。なにせ過去に飛んだひとは未来にしか帰れないんだから。過去にとどまることすら出来ない。ほんの数時間のために、今の(ある意味、未来のも)自分を全部捨てて飛べるほどの想いってどれほどのものだろう、と頭を抱える。

誰かを想っていた刹那のおもいでだけを抱えて生きていくって、どういうことなんだろう。それぞれの形でハッピーエンドに至った主人公たちはもとより、吹原とエマノンのことをなんとなく並べて考えてしまう夜でした。