THE JETZEJOHNSON oneman at Liquidroom

"Now, we get up with thousands of blave words!"


「越えた」ライヴだった。越えたのは『12WIRES』という作品であり、個々の存在ではなく目に見えない「オーディエンス」という総体としてのお客さんであり、「ザ・ジェッジジョンソン」と名付けられた自らの姿であったかもしれない。あれだけ熱狂した大阪ワンマンも、今日のためのステップに過ぎなかったのか、とさえ思わされた。

ほどよい人入りの恵比寿リキッドルーム、セットリストは大阪ワンマンをブラッシュアップさせた雰囲気。頭からがつんとロックモードで叩き付けて、中盤はエレクトロでゴリゴリに踊らせて、後半に行けば行くほどポップでメロディアスになる、というアルバムの流れを踏襲して、折々に旧曲を折り挟むというスタイルは変わらず。ホームであるはずの東京なのに、冒頭のステージ上に漂う緊張感はただごとではなかった。大阪はフロアの方が緊張してたのにね。

そんな緊張感も奏でられる音が増えるに従ってあっというまに解けていって、珍しく壮一さんが淡々とMCをして、なかたんはひたすら前方でフロアを煽りまくってて、じゅにあ氏は絶好調ではなかったようだけどえらく楽しそうな顔をしてた。後方できゃあきゃあはしゃぐように笑顔でリズムを刻むジュンも素敵だったし。これでいいライヴにならないわけはない。
ああ、それにしてもHalf Worldは嬉しかった。イントロの弾むような四つ打ちが聴こえて来た途端に鳥肌がたつような心持ちになる。dancetek以前はDJするときに絶対外さないくらい好きな曲だったから、今日、この場所で聴けて本当によかった。「支えてくれた手のぬくもりは今も僕の胸に」のフレーズで、軽く胸を叩いたじゅにあ氏の仕草にドキッとする。

大阪でも感じたけれど、やっぱりCONTINUE?は異常だ。音源だとあんなにミニマルで、D-Beamでぐねぐねベンドされるヴォコーダーボイスだけが命を持っているように聴こえるのだけど、ライヴだとそれぞれのパートが別々の意志を持って荒れ狂いながらひとつの楽曲を成してゆくイメージ。フロアもステージも一緒くたになって混沌の渦に巻かれるばかりで、声を合わせて叫ぶのが「ビーダッシュ、アンド、ファイアボール!」って冷静に考えると笑えるけど。なんなんだろう。「ライヴの躍動感」「ステージとフロアの相互作用」とか、そういう言葉ではくくれない奇妙で比類無き時間。果たして制作中にこの曲がここまで化けると予想してたのだろうか。

百年の花をあえて本編から外したのは、この曲に対する思い入れの深さ故か。「好きな人はいますか?片思いの人はいますか? あなたの好きな人と、そして僕の好きな人にこの歌が届きますように」ひとりごちるようなじゅにあ氏のMCに、どんな顔していいのかわからなくなる。ハンドマイクで、からだ全体を使って自由に、こころゆくままに歌いたおして、フロアはすっかり穏やかな空気に包まれた。

深々とお辞儀をしてメンバーがステージを去って行っても、まだまだ熱を帯びたフロアはそのままおとなしく帰るわけもなく。すっかりアンコールの定番になった二曲で力いっぱい拳を振り上げて終幕。じゅにあ氏の「またっ!」を聞くと、本当にもう終わっちゃうのなという気になる。アンコールまで含めると大阪と曲数はほとんど変わらないのだけど、やたら濃密でタイトな二時間。前方ブロックでさんざ盛り上がっていたので、すっかり汗だくで湯気さえでそう。

「メジャーシーンへの名乗りを上げる」なんて新人めいたことを言うのもそろそろ言い納め、今のジェッジは確実に広がって行く状況下にあるのだろうと実感。出会ってから8年も経つのに見るたびに新しい発見があって、リリースの度にこっちの予想を軽く越えて行く。そういう存在が身近にある事が何よりも幸せだ。こころから感謝。この夏も秋もこれからも、ジェッジのゆく先が心底楽しみになった夜だった。

opening: CONTINUE?
HEADLINER OF THE YEAR / 陽の当たる場所へ / for the Right time / Vivas the RIOT
Pixelstorm / Terminal Breakdown / 02mixedLouder / Dancetek
20miles / Tide of Memories / Cloudie the Cooker on Fire / Diva
Half World / Pizza / CONTINUE?
en1: 百年の花
en2: Buskes / Thousands Of Brave Word