アーキテクチャの生態系

アーキテクチャの生態系

アーキテクチャの生態系

コヒヤマ研で一緒だったハマノ師がはじめての著作を上梓されたので勝手にご案内。アニオタ/ゲームオタ/マンガオタ/サブカルマスターだった大学時代から、まったく揺らぐことのない問題意識と持ち続けて、いまや情報社会論の若手注目株。去年退官パーティで会ったら激ヤセして、すっかり「イケメン社会学者」になってました。

ミクシィ2ちゃんねるニコニコ動画ケータイ小説初音ミク……。日本のウェブサービスは固有の形に進化している。他の国にはない不思議なサービスの数々は、なぜ日本独自の進化を遂げたのか。本書は日本独自の〈情報環境〉を分析し、日本のウェブ社会をすっきりと見渡していく。ゼロ年代を代表する最注目の若手論客による、日本の〈情報環境〉を検証する決定的一冊。
取り扱うテーマはミクシィ、ニコニコ、ケータイ小説など、「ここんとこ」世間に浸透してきた新しいサービスとそこから生まれる社会学的な問題提起。テクニカルな記述としなやかな論理が入れ替わり立ち替わり出てくるあたり、やっぱりSFC育ちだよなあと、しみじみ。→本人による内容紹介@はてダ

ちょっと前に、友達に紹介してもらった「ゼロ年代の想像力」と似た手触りを感じるなあ(こっちはもっと文系っぽい思考だけど)と思ったら、一緒にトークセッションしたりしてんのね。納得。あ、「ゼロ年代」もとても面白かったです。アニメ・漫画・映画・仮面ライダー(!)・ドラマなど、ここ20年ぐらいのあらゆるものを飲み込んで咀嚼して、分類して新たに論じなおす、という読み応え満載な批評書。バラバラに摂取していたものに一本筋道が通る(個人的には、割と納得しました)のは気持ちがいい。

1980年生まれの同い年で、周辺の文化に同じように染まってきた身としては、とても馴染みやすい。大きな変革をざっくりとつかみ取った「ウェブ進化論」の裏側というか隅っこの方というか(米国の状況と日本のそれが違う、ってみんな気づいてるはずなのにね)、ケータイに限らずいろいろとガラパゴスな日本のweb文化を掘りなおす感じなので、どっぷり浸かってる人にも、「今何が起こってるの?」って気になってる人もどっちにもお薦めです。

やっぱり、時たまこういう俯瞰の視点で物事を見るってのは大事だなー。現場(まあ、コドモの集まる場所だからネットがらみのトラブルもいろいろ起こる)ばっかり見てると、どうしたって視野が狭まります。ハマノ師、ありがとー。