DAFT PUNK'S ELECTROMA


DAFT PUNK'S ELECTROMA
http://www.daftpunkelectroma.jp/

不思議な映画でした。1時間ちょっとの時間を冗長で希釈されたものとるか、制作の意図を読み解くのに必要な時間だととるかはその人次第だ、ホント。 とても見る人を選ぶ、そして好き嫌いのはっきりした作品だと思います。

画面ひとつひとつの作りはとてもうつくしく、テクノではない音楽で淡々と物語が紡がれていくのもよかった。登場人物は台詞も表情もない。そんな風にストーリー性は希薄といいつつも、ガッと心臓をつかまれるような瞬間もあったし。あの、地平線がすり鉢に湾曲したシーンが、映像としてもいちばん美しかった。あとは、冒頭の、ひとけのない荒野をひたすら走るシーン(まるでイージュー・ライダーのように!)のカメラワークも気持ちがいい。ああいう風な、低く滑空するようなアングルはとても好み。

なんというか、非常に余白のおおい映画と言えばいいのか。終演後すぐはちょっと無口になるのだけど、その後非常に多弁になってしまった。解釈の余地はたくさんあるから、自分の感じることを話したくてしょうがないのよね。それまで含めて楽しかった。

といいつつも、「騙されたと思って」なんて惹句はよく使われるけど、これは「騙された!」と感じる人もいるだろう。でも、ちょっとでも興味があれば行ってみるといいとは思います。あの画面設計は劇場でみるのと、そうでない場合で全然違うものだと思います。ちょっくら騙されてみましょうぜ、皆さん。