012/100 このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?

このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?

このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?

このプロジェクトの大テーマ(『人生で何をすべきか?』)を人に聞かせたとき、もっとも多く返ってきた質問は「で、それは人生に関する本なの、それとも職業に関する本なの?」というものだった。わたしは笑い、語義に囚われてはいけないと注意してから、こう答える。

「自分自身に正直でありたいと願ってやまなかった人たちに関する本だよ」

海難記のエントリを見て、すぐにマケプレで頼んでおいたのが週明けに届いた。最近はつくづく頭の中を占めるトピックと物事のタイミングがいい。

52人の仕事を、働き方を、人生を綴った本。扇情的な邦訳のタイトルよりも、ずっとあたたかい眼差しの物語。ドキュメンタリーでありながら、筆者の気持ちやインタビュイーの感情のうごきのようなものがよく見える。ひとりの物語はほんの10ページほど。なので、語り口は恥ずかしいほど直球で、簡潔。さくさくと読めます。

「もし本書に面白い話が含まれているとするなら、それは世間のあちこちに感動的な話があるということ」というあとがき通りに、まさに千差万別の人生がある。特にこの本は「ある場所に不平を持ちながらとどまる事を臨まなかった」ひとたちが登場しているので、世間一般からすれば、すこしは興味深い話の濃度が高いのだろうけれど。サクセスストーリーを集めたものではないし、踏ん切りはついたものの、次の一歩を出しかねている人だっている。それなのに、とても読ませる一冊。

「だれかと差し向かいで話をするのは、その人と歴史を分けあうことなんだよ」と昔あるひとに言われた事をおもいだした。それと同時に「人生は一回しかないんだから、本を読んで違う人生を学ぶといい」という言葉も。この本は、その二点のみで成り立っている、とても純粋なもののように思える。ベッドサイドにおいて、一晩に何人かずつ読んで寝るような読み方をお薦めします。

同じような手触りの、誰かの人生をもう少し読んでみたい人にはこの辺を。割と読んでるなあ、自分。

高校のときに 自由であり続けるために、僕らは夢でメシを喰う〈Dream1〉自分の店 を読んで以来、こっち向きの針路が体に染み付いてしまったので、いくつになっても何かを探しながら仕事をするのだろうな。今の仕事を辞めたいと思ったとこは一度もない(なんて幸福!)けれど、ここが終の住処ともまったく思えないし。ま、ゴールはない、ね。