すべてきみに宛てた手紙 / 長田弘

すべてきみに宛てた手紙

すべてきみに宛てた手紙

「書くというのは、二人称をつくりだす試みです。書くことは、そこにいない人にむかって書くという行為です。文字をつかって書くことは、目の前にいない人を、じぶんにとって無くてはならぬ存在に変えてゆくことです」

こないだ読んだ淋しいのはお前だけじゃなに差し込まれていた「この本の読者のために」で発見(これ、ものによっては新刊でも落ちていることさえあるんだけど、とても優秀なレコメンド集。オンラインでもつながりあって読めればいいのになあ)。そこで引用されていたこのひと文にがつんと衝撃を受ける。最近「ことば」をめぐるテキストや論評をたくさん読んでいるんだけど、これがいちばんしっくりきた。

言葉を忘却からすくいだすのは、言葉のちからを刻むユーモアです。

というのも気に入りました。ひとつひとつはとてもやさしげな短いテキストだけど、こころに引き留めておきたいフレーズばかり。これらのフレーズを実感を持って感じられるようになれば、ずいぶんと「書ける」ようになるのかもしれない。しばらくそばに置いておく。