最近読んだ本
- 「メール交換」―銀色夏生×HARCO (角川文庫) / 銀色夏生×HARCO … 彼女の作品は今までまともに触れたことがないんだけど、これに関してはあんまり好きになれないなあ。自分の思うこと感じることをすぐにドン、と言葉でつよく投げるイメージ。メール交換というかたちを取っているから、タイムスタンプだとか行数だとかで余計にそれを感じる。HARCOはそれを丁寧にかみしめて組み直して送り返す感じ。ちょっといびつなバランスかなあ。HARCOの書くテキストは黙々としていて相変わらずとても好きだ、ということだけを再確認。
- 見張り塔から ずっと (新潮文庫) / 重松清 … 怖い。この作品から作風ががらりと変わったらしく、これ以降の作品はすべて「見張り塔から ずっと」という共通のテーマを持つとのこと。たしかに今までに読んだものと似た手触りなのだけど、より尖っていて、冷たくて、どこにも救いがない。ただ、必要以上に残酷だったり突飛だったり救われない状況な訳ではなくて、日々の暮らしの背中合わせに存在しうるのかさらに怖い。近作はそこにもひとすくいの希望だったりがあるんだけどね。ちょっと覚悟が必要な物語。ふう。