演劇集団キャラメルボックス『あしたあなたあいたい』&『ミス・ダンデライオン』

huili2006-04-23


クロノス』に引き続いて、クロノス・ジョウンターの伝説をひもとくハーフタイムシアター。『クロノス』は原作とまったく別の物語(よりいっそう壮絶である、ともいえる)に変化していたのだけど、上演時間60分という今回はどういう風になるんだろう とドキドキして向かうシアターアプル。氏と落ち合えたのがギリギリ過ぎて、劇場に着いたらすでに前説が始まってた。ひーん、座布団席でるくらい混んでるのにごめんなさい!

まだ上演中なのでここからはたたみますねー。どちらの物語も、なぜか安心して優しい気持ちになれるものでした。


冒頭にストンとスクリーンが降りてスライドが投影される。物語のイントロがあってタイトルコール、という映画っぽい手法。ハーフタイムシアターのお決まりなのだけど、毎度毎度ここの曲がいい。『広くて素敵な世界じゃないか』におけるWhat's a wonderful worldとかね。今回のJulie(未発表)も鳥肌でした。

『あしたあなたあいたい』は家族と守るべき場所、というふたつの軸が加わって話の奥行きがずいぶん増していた(どちらもとてもキャラメルらしい要素だ)。時を飛ぶときに「あなたの親にはもう会えないかも知れないのよ?」という問いかけをされるのも『クロノス』とおなじ。原作でつよく感じた物語の無骨な印象は変わらないのだけど、布川氏の実直さと圭ちゃんの素直さが話をぐいぐい引っ張ってゆくかんじ。圭ちゃんではなくて来美子さんがPフレックを訪れるのも良かったなあ。

細かいところでは、布川氏がお辞儀をするときに片手をおなかに当てるのがとても美しかった。首から下げたライカを押さえる、という見た目上の演出もあったのだろうけど、彼の性格がとてもよくあらわれてる風に見えた。

『ミス・ダンデライオン』はほとんど原作と同じ。ヒー兄ちゃんとの別れのシーン、冒頭の回想と実際の時の流れで、まったく同じシーンが繰り返される(本当は同じようでいてまったく違うのだけど)お芝居ならではの手法がガツンときた。「ああ、あのひとは本当はわたしだったのか」ての。さつきさんの樹里はほんとうに勝ち気で強くたくましい女性に映っていたので、ヒー兄ちゃんの前で泣き崩れたところ以降はもうかわいらしくてしょうがなかった。

タケコさまサイコー!葉山さんサイコー!「シェンシェー」って発音しそうな業者ってほんとうに現れるので、これからつい思い出し笑いをしてしまいそう。ひひひ。

オンガクが一番「三部作」らしさを持っていたかも。OCEANLANEとかadvantage lucyとかのつかいどころが同じだったから、なにか懐かしい。むかし好きで好きでしょうがなかったHIKARIのライカが美味しいところで使われていてニンマリ。

それぞれの都合をあわせるとどうしてもこの日しか空かなかったのだけど、たまたまこの順番で観られてよかった。『クロノス』から思い起こして、誰がいつどこまで飛んで…というのを考えると頭が痛くなるんだけど、この物語全編の鍵を握る野方さんがゆるゆると老いて(あるいは若返って)最後に物語を閉じてくれてすっきりした。彼もおそらくは幸せになって一安心。

吹原さんのDVDを買ったので、はやいうちに9時の回で上演したいところ。(前説で「2時の回『あしたあなたあいたい』、4時の回『ミス・ダンデライオン』、買って帰って6時の回『クロノス』をどーぞっ!!」て言ってたのがやたら面白かった)