西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

表紙とタイトルのイメージがとても強くて、せどりをしていた頃からなぜか気にかかっていた本。ふと思い出したらどうにも読みたくなって、結局マケプレで購入。あら、こんなに薄い本だったのか。

主人公は、どうしても学校に足が向かなくなった中学生の少女(最近どうもこの手の物語を手にしてしまうのはどうしてだろか)。西の魔女は外国人のおばあちゃん。彼女とおばあちゃんの淡々とした暮らしと、事件と、いろんな思いが折り重なって物語は続いていくのだけど。「最後の三ページ、涙が溢れて止まりません!」というヤラシい帯にまんまとしてやられた。まさにそのとおり。

母語ではない日本語話者特有の丁寧な言い回しをするおばあちゃんと、こどもらしさや甘えをにじませた少女のやりとりがとてもここちよい。一晩だけ登場するパパの呑気な「わかってない」ぐあいもいい。風景描写がとても鮮やかで、今まで見たいろんな景色を適当につないでおばあちゃんの家を想像する(一番しっくり来たのはkinoの"weather forcast"の親子の家)。

そんなわけでひさびさにスコーンと気に入る物語だったのです。シンプルだけど良い素材でできているかんじ。最近このくらいの素朴なものがとても好きだなあ。ミステリだのの豪奢で緻密なイメージの対極にあるようなふんわりしたものが。