姑獲鳥の夏

ubume


私学展を午前中で抜け出して(今年も盛況。恐竜展より人がいたかも)MMシネマズへ。京極を全く知らない人を連れていくのはどうかと思ったけど、読書習慣のないひとにあの本を押しつける気にもなれずちょっとドキドキしながら。妖怪根付けだの封じ札だの安直な劇場グッズに苦笑しつつ入場。予告編のなかで気になったのは 星になった少年妖怪大戦争愛についてのキンゼイ・レポート かな。ええと、鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 も見たいと思って居るんですが、誰か一緒に…(むにゃむにゃ)。

期待と不安がないまぜになった気持ちで見に行ったので、思ったよりは楽しめた。演劇的な古めかしい演出も、結構はまっていたんではないかしら。ただ、やっぱり二時間じゃ足りやしない、というのが正直なところ。削ぎ落とされてしまった部分を補完しながら見る分にはよかったけれど、未読者はいきなりあれで大丈夫なのかしら。

しかし京極堂の長台詞にうっとり。ああいう風に理詰めで相手を徹底的にたたきのめすようなひとが大好きなのでたまらない。たっぷり台本4頁半(らしい)、息もつかせぬ蘊蓄の嵐。ああ、たまらない。堤はちょっと陰のあるくらいの役柄が似合うなあ(京極堂は陰ばかり、という気もするけど)。あとはエノさんが想像以上に良かった。阿部エノはキャスティング発表の時点であまりにイメージが違うので驚いたけど、傍若無人な雰囲気がぴったりだった(思った以上に阿部好きな事を自覚)。

あのくすんだ世界の空気をまた見たい、とは思うけれど、匣なんてさらに映像化不可能じゃないかしら…。