拍手という花束のために

拍手という花束のために

拍手という花束のために

さきの石田小吉氏がワタクシの人生の行き先を定めてくれた人だとしたら、加藤氏はそうやって生きていくために必要な技術を与えてくれた人だといえる。足かけ5年ネビュラでバイトをして得たものは本当に多い。単に演劇の裏側を知る、製作の苦労を知る、ということではなくて、例えば 常に相手の目線で物事を考えること。あいさつの語尾が上がるのは心がこもっていないから。たくさんたくさん勉強したなあ。6年前までのワタクシは、実は結構人見知りだったんだよ?


そんな加藤哲学がぎっちり詰まっているのがこの本。前作の「いいこと思いついたっ!」に引き続いての、エッセイなのかビジネス書なのかはたまた自伝なのか、とにかく加藤120%。キャラメルボックスの芝居を一度でも見たことのあるひとは「ああ、そういうことだったのか」と納得できるかも知れない。「キャラメルの内情暴露」というと響きはわるいけど、かなり具体的な数値なりデータを出して論ぜられているので、演劇バタケではなくてもなかなか参考になりそうな話がたくさん。


この本に書かれているうちのいくつかはこの目で見ていて非常にリアリティがあるので、下手な自己啓発本よりよっぽど効き目がある。「そうだ、こんなことやっちゃったんだよなあ」って。最近自分に甘えてる気にすらなるわ。こっちはこっちでがんばらなくちゃ。ね。