最近読んだ本

せっかく読んだ本のことを書き留めておかないのはもったいない、とあれほど力説していたのに。春先の病的な読書量からは確かに落ち込んだけど、まったく読んでない訳じゃないんだからさあ。覚えている限りで書いておく。

  • 冷静と情熱のあいだ Rosso / 江國 香織 … DVDが本当に腑に落ちないので再読してみる。うん、やっぱりこのイメージだよな。映画でそぎ落とされた部分こそが、わたくしの好きな部分だったんだ、と確認。淡くてさまざまな事に対して起伏のないあおい。あと、基本的に会話そのものは日本語で書かれているのに、時折意図的にカタカナ表記になるのがいいリズムを生んでいるのに気づく。これは活字ならではの方法だなあ。
  • 冷静と情熱のあいだ Blu / 辻 仁成 … で、違和感の正体はあの映画が順生の視点で書かれていたからで、わたくし原作の"Blu"のほうが好きじゃなかったからだ、ということに思い至る。どうにも辻の文章を読むのが億劫で(なよなよでナルナルしい)Rossoと同じように味わえなかったんだ。もったいない。だれかリライトしてくれないかしら(失礼)。
  • 愛がなくても喰ってゆけます。 / よしながふみ … よしなが作品には、いつも異常なまでに料理のうまい(そしてレシピを語れる)人物が出てくるのだけど、それは作者自身が好きだからなのね。とはいえ単なるグルメガイドではなく読みものとしてもかなり楽しめる出来で、どこまでがフィクションなのか曖昧な感じがヨイ。行きたい店もいくつか発見。
  • 愛すべき娘たち / よしながふみ … よしなが作品はほとんど男が主人公なんだけどいつも脇に素敵な女性がいて、その加減がいいなあ、と思っていたので、いろんな女の人が出てくるこれはよかった。特に第四話、中学時代の無邪気な約束のその後を描いた話に涙。愛だの恋だのばっかじゃなくて、ひとの生き様みたいんをうまく書けるのはすごい。
  • フラワー・オブ・ライフ (1) / よしながふみ … 連載中の学園モノ。数学教師が生徒を叱り飛ばすシーンがあまりに正論で素晴らしいので、コピーして生徒に配りたいくらい。こっちもこっちで、普通なら軽くかきとばしてしまいそうな心の機微みたいなのをがっちり捕まえて描いているので時折不意打ちに遭う。というか、最近学園モノ全般に対して感情移入しやすくなってるぞ(まあ、しょうがないか)。