すべて君に宛てた手紙

すべてきみに宛てた手紙

すべてきみに宛てた手紙

書くというのは、二人称をつくりだす試みです。書くことは、そこにいない人にむかって書くという行為です。文字をつかって書くことは、目の前にいない人を、じぶんにとって無くてはならぬ存在に変えてゆくことです。これらの言葉の宛て先である「きみ」が、あなたであればうれしいと思います。

ワンフレーズに引きずられての再読キャンペーン、つづく。詩人である長田弘氏のエッセイ集なのだけど、序文にあるこのテキストが好き。さらに言うならタイトルがいっとう好き。面と向かって言うことも大切だけど、そこにないものごとについて思いをめぐらせて書くことはより重要な気がする。こと、仕事ではなく自分の意志で綴る文章では。

と、10年来様々なかたちでつづけてきた「web日記」を、Twitterにかまけてすっぽかし気味の自分へのいましめとしても。断片の積み重ねで記録される日常と、きちんと腰を落ち着けて書かれる文章ってやっぱり違うのだと思う。などと考える雨の夜。