もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

ほうぼうで話題の「もしドラ」、先日の「夜のプロトコル」打ち上げ0次会で熱い話題になってるのにとどめをさされて買ってしまいました。タイトルとカバーの印象は発刊時から強かったのだけど、やっぱり「ドラッカー」ってだけでちょっと敷居が高い感じがあったのよね。いやあ、気持ちよく裏切られました。

みなみちゃん(浅倉かどうかはしらない)という女の子が高二の夏に野球部のマネージャーになり、うっかり手に取ったドラッカーの「マネジメント」をバイブルのように抱きしめて、ちんたらした野球部を次々と変革していく、という物語。難しい専門用語もないし、ただのラノベとしてさらさらと読めてしまう。はっきり言って、物語のプロットや表現にはツッコミをいれたいところもやまほどある。

それでも、ちょっとかじっては「それは正論だけどさ…」と言い訳をして、いまいち日常に馴染ませる術を見つけられなかった「経営学」というジャンルが、ごく日常に近い場面で再解釈されて成果を出して行く展開におおきな衝撃を受けた。

「野球部の顧客は誰だ?」「野球部の目的はなんだ?」「組織はどうあるべきか?」
物語のなかでは、みなみちゃんがそれなりに答えを出してぐいぐい方向を定めていくけれど、その過程を自分の組織にあてはめて考えてみると、いままでにない補助線が引けそうな気がする。経営学的な考え方のヒントをもらえました。こういう驚きと応用を、ドラッカーの原著を読んだ時点でできればよかったんですが、いままではなかなかそこまでの想像力が働かなかった。「学校と企業は違うでしょ?」とか「利益のみを追求する組織じゃないし」とか。

とくに印象に残ったのは、野球部をもりたてていくのに他の部や組織とタッグを組む場面。毎日ごはん作らされる調理部はたまったもんじゃねーな、と現実的なツッコミを入れながらも、自分たちが渦の中心になってぐんぐん状況を動かしていくのにちょっと泣きそうになった。こういうこと、したい!

ふだん活字を読んで「映像が見たい」って思うことはめったに無いんだけど、これはドラマか映画になったらいいのに、とつよく思った。矢口史靖監督的なイメージで。ま、話のプロットがそのまんが、ウォーターボーイズだのスウィングガールズだ、っていうのもありますが。

この方々のレビューと雑談にとどめを刺されたので貼っておきます。いろんな読みかたがあるもんだ。

追記:
表紙の水門、構造的にニセものだ!(あんなに高さがあったら、空けた時に門の自重でひっくり返る)とひとしきり盛り上がっていたのですが、もしやマイターゲートのつもりでは…とのご意見が。さすが水門のひと。すばらしい。