サカナクション “SAKANAQUARIUM 2009” at 赤坂BLITZ

ラララ、きっと僕ら、踊り暮れる夜の闇に飲まれて。

3/7(sat)、サカナクションワンマンツアー “SAKANAQUARIUM 2009” は全公演ソールドアウト! 新装相成ってから初めて訪れた赤坂BLITZで鳴らされた音は、さながら大きな深海魚が口を開いて泳ぐように、がっぷりとわたくしたちを飲み込んだのでした。

サカナは音源そのものの完成度がとても高いのだけれど、ライヴで見せる表情はまたひとあじ違う。各々に異なるルーツを持った(ただひとつ共通するのは、いわゆる「J-ROCK/POP」と括られるメインストリームの音楽を好んで来なかった、ということらしい)メンバーが、それぞれの持ち味をゴリゴリと前面に押し出してくる。曲間を繋ぐアレンジはそれこそ卓越したDJMIXのようにシームレスで、四つ打ちのビートは決して止まることがない。ブレイクの一瞬、全ての音が止み残響音だけになる瞬間なんて、まさにDJプレイの常套手段だし。

ライヴという空間で、それを寸分の狂いもなくこなす様にプレイヤーとしての技量の高さをも見せつけられる。“minnnanouta”のようなインストナンバーを、各人のソロプ例を折り挟みつつも、飽きさせず踊らせるっていうのもそうだしね。Da Funk festとかObllivion Boulのことを思い出したし、もっとダンスミュージック礼讃なフェスに出たら面白いだろうなあ。いわゆる「ロックキッズ」な首にタオルを巻いたタテノリのワカモノと、クラブ慣れしたオトナが同じ音に身体を揺らせているのも不思議な雰囲気。

その一方で、山口くんの持つ叙情的なことばとうたに深く沈むのも心地よい。出自でひとの感性がすべて確定するとは思わないけれど、冷ややかだけれど内面に熱のこもったような彼の詩にはやっぱり北海道という土地が影響していると思う。問答無用で白に埋め尽くされる、あの冬の空気感。
アンコール前のMCで「J-ROCKとか言われるエンタテイメントな音楽にもいいところはあるし、自分たちがずっと聴いて来たアンダーグラウンドな音楽をもっと知ってほしいとも思うから。サカナクションはその両者の間をうなぎのようにぬるっと繋いでいきたいと思ってるんで、これからもよろしく!」と言った。まさにいま「J-ROCK界に新星あらわる!」とブレイクしつつある彼らが、2000人の観客の前でそれを宣言したことにちょっと驚いて、そして嬉しくなった。若いくせに老成してて、落ち着いていて、それでいて青臭いことも平気で言ってのける。どうかこのまま、信念をゆらがせずにどんどんいろんなものを飲み込んで大きくなっていけばいい。楽しみです。


Ame(B) / ライトダンス / インナーワールド / サンプル / minnanouta
ナイトフィッシングイズグッド / 黄色い車 / 白波トップウォーター / あめふら / enough / 涙ディライト
フクロウ / 夜の東側 / ネイティブダンサー / セントレイ / アドベンチャー / human
en01.三日月サンセット
en02.アムスフィッシュ

余談:今回のBLITZ、チケット代がなんと2800円でした。照明の演出にも非常にこだわっているのにこの値段ってすごい。来週の某DAは5500円なのに(他意はない)。『シンシロ』もフルアルバムながら2100円だしね。「CD売れない、ワカモノは音楽に対価を払わない」ってしたり顔で言うのは簡単だけれど、じゃあどうするよ?と考えて策を講じた制固い意志と度胸の良さも賞賛したい。