INTO THE WILD

"happiness is not real when it's not shared."

先般のエントリのあと、原作を読んだらやっぱり映画が見たくなってレイトショーに滑り込む。物語そのものの行きどころをあらかじめ知っていたけれど、クリスの笑顔に引き込まれていくうちにあっという間の180分でした。何気なく気に入っていたこのフレーズが、いまはとても意味深く重い。

確かに原作に比べれば映画としてショウアップされている部分もあって、これをドキュメンタリと呼ぶのはちょっと違うかもと思いつつ、”Magic Bus”での暮らしと、2年に及ぶ彼の旅の足跡を交互に追いながら展開していく物語はとても淡々として美しかった。アラスカってすごいのなあ。

クリスのように、鬱屈や反抗、いらだちと怒りみたいな感情が自分の全てを突き動かすような体験はした事がないはずなのだけど、時折彼の言動にひどく心を動かされる場面があって驚いた。あと、登場人物の言葉がかつて聞いた「誰か」の言葉のようにも聞こえたりして。彼のように禁欲的に、あらゆるすべてのものを排して旅に出るつもりはないけれど、もしかしたら心持ちひとつで日々の暮らしを旅の途中に変えていけるのかもしれないな。

クリスとヒッピーのレニーが岩の上で語るシーンがいちばん好き。ストレートだけどウィットに富んだ言葉のやり取りが印象的で。どこかで似たような場面を見たなあ、と思ってたら、イリュージョン/リチャード・バックでリチャードとドンが出会うシーン。まあ、見比べると似てるわけじゃないけど、手触りがちかい。

■映画『イントゥ・ザ・ワイルド』