S町にっき(1)
我が家から駅に抜けるルートは三つあって、国道沿いの騒がしい道と、鄙びた商店街を抜ける道と、敷石の歩道がある曲がりくねった道。自転車だと国道沿いが通りやすいし、歩くなら鄙びているとはいえ商店街を通るのがいい。日頃はなかなか通らない3つめの道を、ここ1週間は選んで歩く。このあたりでいちばんの桜並木が見られるから。
ぐねぐねと曲がりくねっているのは、かつてここに川が流れていた時の名残だそう。上流の方は、人工的ながらもせせらぎとして整備されているらしいけれど、このあたりではもう暗渠ですらない。道路沿いにお豆腐屋さんがあるのが、水のいい場所であったことを思い起こさせるくらい。
それにしても、川沿いに桜を連々と植えるのはなぜなんだろう。桜の根ってそんなに立派に土手を守るんだっけ？浜辺に松を植えるのとはちょっと違うだろうに。ま、でも、なんであれ、散り始めた花びらに目を細めつつ、ぶらぶらスーパーまで出かける午後。明日から新年度が本格的にはじまります。
