026/100 東京バンドワゴン

東京バンドワゴン

東京バンドワゴン

ひさびさに、わざと各駅停車で帰宅したくなる物語に出会う。合宿山ごもり用に買ったのに、つい手を出してしまいましたよ。キーワードは、下町、古本屋、カフェ、訳あり大家族、ロックおやじ、ねこ、ちょっとした謎、人情、笑い、涙、そして「LOVEだねぇ」。

キーワードを羅列するだけでニヤニヤする人も多そうだ。まず「バンドワゴン」が屋号ってだけでもうズルい。死んだばあさまが狂言回しを務めるという構成も、ズルい。

語弊を承知で、既知の作品を借りてざっくり形容すると、「拝み屋横丁顛末記」「金魚屋古書店」的な雰囲気の中で、「創竜伝」的な兄弟姉妹のいる家族を中心に(変身はしないけど、ぱりっとした長男と美形の次男相当なひとと、天衣無縫なちびがふたりと、おっとりモノだけど頑な長女(惜しい!)。あ、テキパキしっかりモノの嫁もいます。完璧!)、北村薫の「私」シリーズ的な事件を解いていくのよ。でも根っこに流れるのは寺内貫太郎一家だったりする。じさまの名前勘一だしな。

そんな大家族に持ち込まれる事件、拾ってくる謎、強引な人情。ま、まさに一昔前のホームドラマみたいです。向田邦子とかの。こういうのドラマ化すればいいのになー。還暦をむかえた伝説のロッカーはムッシュあたりで(笑)。

ホント、いますぐにでもこの家に嫁に行きたいくらいのあったかくて、やさしくて、ちょいと頑固な家族の物語。夏休みのお供にどうぞ。てか、こういうお店がやりたい、将来。