021/100 フラワー・オブ・ライフ(4)

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)
第4巻で、綺麗に簡潔。よしながふみは、きちんと終わりを見定めて物語を綴るタイプの作家なので、最終巻はあらゆる伏線が回収されて、すべてがひとつの終わりに向かって収束していくかんじがはっきりしている。連載で読んでいなくて本当によかった、と思っちゃう、いつも。

いわゆるフツーの青春ドラマ。ひとつのクラスに関わるいろんな人のいろんなドラマ。読み出した頃は、もういちいち全部が「ありそう」な話で、笑いすぎて切なすぎて死んだ。便宜上の主人公はハル太なのだろうけど、ひとりひとりが主役を張れるくらい、きちんとキャラクタを持って暮らしている。1年間だけを描く事で、すこしだけ、オトナになったみんながはっきり見える。オトナも、ちょっとだけオトナになる。

青春ってホントにめんどくさくて、でも素敵なんだよなあ。オトナになっちゃった今だからこそ、酸いも甘いも全部いいものに見える。ハチクロはひたすらにだれかに向かう想いを描き続けた青春モノで、それはそれでとてもよいのだけど、それだけでもないのよね。友達とか、先生とか、クラスとか。

それにしても、よしなが作品のなかで人が精神的に追いつめられた時の描写は本当に怖い。自分もきっとそういう顔をしているし、させることもあるんだろうな、と思ってしまう。だからこそ、笑顔がほんとうに素敵に見えるんだけどね。wings comicsなので、老若男女あらゆる方々にお勧めできます。最後まで一気に読んで、タイトルの響きをかみしめてほしい。