Salyu TOUR07 at 神奈川県民ホール

huili2007-02-09


ライヴというよりはコンサート。オンガクだけではなく、演出も含めて完璧にショウアップされた時間は久しぶり。スクリーンと照明のバランスが素晴らしかったので、3階席でむしろよかったかもしれない。

客殿が落ちると壁面いっぱいに広がるすこし湾曲したスクリーンに、ひかる線路が浮かび上がる。ぐうっと鳥瞰から眺めて、すべるように下って車窓と入れ替わり。BGMはプラットホームのインスト。電車の行き着く先、光るドアがひらくと袖からメンバが登場する、と。スクリーンと同じカーブを描くひな壇が一段。カミテからドラムあらきゆうこ(!)、ベースキタダマキ(!!)、ギター氏鍵盤氏、と。センター正面にサリュ。あいかわらずヒヨコっぽい。ウズラでも可。
にぎやかしではなく、きちんとオンガクに寄り添ったVJを見るのは相当久しぶり。いかにもな抽象画像だけではなくて、東京タワーとか、夜景とか、あかるい車窓とか、公園とか。きっちり歌を聞き込んで作ったんだろうなあ、と思わせる素材ばかり。ブレイクのタイミングもぴったりでぞわぞわ鳥肌が立つ。繰り返すフレーズの切れ目、すうっと息をついた無音をやぶるのは滴る雫とサリュの絞り出すような声だったり、とか。

中盤のおもたい曲が続くところ(ていうか、いま音源聴いてたらぜんぜん重たくないの!リズム隊で相当化けてるなあ)はホール特有の音がのぼってくる感じにやられた。サリュの歌もかなり神懸かった凄みを増していて、歌詞とか言葉とか、そんな意味付けをさっくり越えてしまっていた。響きのよい口のかたちを連ねていくだけの楽器。普段は歌詞を重視して聴いてることがとてもおおいので、自分がそういう風にかんじたことにとても驚く。

ここのパートは映像と照明もかなり気合いが入っていて、夕暮れのビル群を舐めるようにワンショットで撮影してるのかと思ってみていたら、サビで声を張った途端に建物がバラバラになって消えていく(CGだった!)すがたに目が離せなくなる。"heartquake"ってタイトルもちょっとズルいな、と思っていたのでさらにドン。最後の"鏡"は、戦争とか、貧困とか、ワールドトレードセンターとか、それでも美しい目をしたこどもとか、かなり直截的なイメージを叩き込まれたので、ぴくりとも動けなくなる。すごい、これ。

後半のポップゾーン、最初は風に乗る船。おお、やっと歌詞が聞こえるようになった。一階のお客さんがぴくりともしない棒立ちなのが寂しいけど…。幕張んときもそうだったんだよねえ。拍手はぶわあっとあがるのでいいんだけど。もうちょっと踊りてえよ。そのままふわあっと最後まで。Apple Pieなんてキュートすぎる曲をえらく恥ずかしそうに踊ってたのが印象的。数時間早く生まれただけなのに、なんであんなに愛らしいのだ彼女は…。

アンコールで衣装替え、ジュディ・オングみたいな真っ白でひらっひらの(こういうのも久しぶり)。アコースティックで一曲、デビュー曲を一曲、そして最後は"to U"。開演前からなんでプロジェクタが床置きされてんだろ?と思っていたんだけど、この曲のためだった。真っ白でひだの多い衣装に、両サイドからプリズムを通したような揺らめく七色の光を。ひらひら部分をレースにして、裾を太めにしてあるので、オーロラを纏ったようにふわりふわりと輝く。顔部分にはスポット当ててあるので普通の顔色。普段はまったく見る事のない色と光なので、夢みたいな気持ちになる。これはこれは。いつかどこかで真似しよう(どこで?)

be there / 彗星 / Tower / 体温 / 故に
name / 夜の海 遠い出会いに / landmark / heartquake / 鏡
プラットホーム / I BELIEVE / 風に乗る船 / トビラ / Apple Pie
encore : 行きたいところ / VALON-1 / to U

ターコイズブルーのTシャツがとてもよかったのと、スミス(ぞうのポーチ)が愛らしかったので購入。すみからすみまで楽しみました。ホールのコンサートってあんまり得意じゃないんだけど。ここまでがっちり作り込まれていると、とても満足感があっていい。オリコン2位(!)アーティストなので、チケット取るのが大変そうだけど、つぎのツアーも行きたいなあ。