箱根の山は天下の険

「せんせい!中学演劇部って公演時間変更になったんですけどっっっ!」という悪夢で目覚める。…いや、もう、終わったんだからそんな夢見なくていいのに…。「生徒を怒鳴ってる夢を見た」と力ない声もしたので、やっぱりそんなもんか(でもいやだ)。朝風呂でいやな汗を流す。とほー。

旅館の朝ご飯はどうしてあんなに塩っぽいおかずが多いんだろうか。みそ汁とお豆腐とサラダと干物の他に、佃煮と漬け物と納豆とふりかけと味のり、って。後半は選択二点くらいでいいと思う。しかしきちんと朝にお魚を食べるのなんて三月の合宿付添以来じゃないかしら。どれくらいになったらこんな余裕のある朝を迎えられるのかしら。

特に予定も決めていなかったのでとりあえず山を登って芦ノ湖へ。都内近郊で育った人のように箱根に馴染んでいないので、いまだに大昔からの一大アミューズメントパークとしての箱根に感心する。100年単位の昔からこんな山に宿を作り店を作り道を開いて…と思うと気が遠くなる。それに重なるように40年くらいまえの華々しい日本の残滓が見えるのもまた。駒ヶ岳ロープウェー、すごかったなー。今となってはあまりにも古びた建物と、掲示してある技術案内の誇らしげな文面といったら!バブルがはじけてからのシケた日本しか知らない身としては、なんだか不思議な気分になる。

そんな事を思いつつも、ロープウェイからの絶景に歓声を上げる。薄曇りで遠くまで景色がみえないので、「あの山の向こうには何もなかったりしてね?」なんて言ったり。山頂はラピュタばりの濃い霧に覆われて、箱根元宮まで登ったらロープウェイの基地がすっかり霧に解けてしまって慌てる。「山を下りて霧が晴れたらそこは戦国時代、というのはどうだろうか」

あまたあるみやげものやをなんとなしに眺めたり、ソフトクリーム食べたり。とくに目的を持った何かをしない。ただのんびりを時間を流して、ここんとこぎっしり詰まりっぱなしだったアタマをやわらかーく。普段はなかなか遠出ができないけど、こういう時間がないとね。

横浜まで戻ってきていつもよりちょいと向こう、大桟橋だの元町のあたりを散歩。横浜駅の周辺以外はほとんど出歩けていないので、港の周辺のちょっと異世界っぽいあたりを探検(このあたりが横浜が横浜たる所以、なのだろうけど)。不思議な街だなあ。ずっと行きたかったSCANDIAでごはん。見た目の雰囲気に違わぬ良いお店でした。よくよく考えれば学校から20分もかからないのよね。もっと積極的にこの辺で遊びたい次第。