東京タワー

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

実家に帰省しているあいだのひまつぶしと思って買ったはいいけど、ひとたびページを繰り出したが最後。あっという間の二時間でした。息が詰まる。リリー氏の著作は数えるほどしか読んだことがなかったけど、これはすごい。笑うだけ笑って、泣くだけ泣ける。

氏が子供の頃からのことをずっと、ほんとうに淡々と書いてあるだけなんだけど、その淡々としたリアルさが胸をつく。なんていうか、呑みすぎて逆にアタマが冴えてしまって、いつもは言わない胸の奥の気持ちを、誰にいうでもなくぽつりぽつり話している、といった雰囲気。まったくしらないひとのオカンなのに、一度くらいごはんをごちそうになったことがあるような気がする。「それは誰にでも起こりうること」で、結末までもわかっているのにどうにかしたくなる。まだずいぶん残っているけど、今年いちばんの本になりそうです。

(きっと一気に読んでしまうだろうから)夜更かししても大丈夫な日を選んで、コーヒーでも飲みながら読み始めて、涙が引いたあたりでほぼ日のインタビューをあとがきのように楽しむといいとおもいます。